最近多くの中国製の楽器が注目を集めています。
なぜか? それは・・・・
- ヨーロッパからの高度な製作技術の導入
- 中国にはもともと高い木工技術をもった職人が多くいた
- 良い材料の豊富さ
- 中国の職人の人件費の安さ
- 日本の不景気
これらのことにより、「価格に対して楽器の性能が高い」楽器が中国で作られ(技術導入は数十年前から始まっていました)、日本に輸出されるようになったためであると考えられます。とくにチェロはもともとバイオリンに対して相対的に高額であるため、 中でもチェロの方で、これらの中国製の楽器を求められる方が増えております。
当店のこれらの中国製の楽器に対する評価としては、結局、上記の「価格に対して楽器の性能が高い」=「ハイコストパフォーマンス」であることが、 中国製楽器の魅力であると考えてます。
最近では、「中国製のものはありますか(下さい)。」というお問合せが増えておりますが、 これは、上述のハイコストパフォーマンスの中国製楽器の存在を お知りになってのお問合せだと思います。
実際、日本人の「中国製」に対する偏見がなくなりつつあることは、素晴らしい事だと思います。・・・が、「中国製楽器を・・」という言葉には、楽器のブランド化が感じられてしまいます。出回っている中国製の楽器の中には、良いものも悪いものも存在してます。
(これは、どの国で製作された楽器であろうとも全く同じこと)ブランド化は、「価格の上昇」と「まとめられてしまった楽器群全体としての性能の低下」を招きます。 このことは、上述の中国製楽器の魅力の性質を考えると、致命的なことです。
人気とともに需要が高まれば、価格が高くなるのは自然なことですが、 内容の伴わない「流行」による価格の上昇は、 本当に力のある製作家の誕生・育成の妨げにもなります。 実際、我々日本人の「流行」の力は恐ろしい事だと思います。ここ数年の日本の(失業者がでるほどの)不景気で、最近の中国製の楽器の需要の高まりにより、中国国内でバイオリン職人に転職する大工が増加・・・なんてことが起きているのです。
「中国製だから駄目」という偏見がなくなりつつある今、「中国製だけれども良い」という段階にあると思ってますが、本当は、「(例えば)イタリア製であろうと中国製であろうと良いものも悪いものもある」という考えが重要です。
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